負荷刺激・経絡(臓器) count

負荷刺激・経絡(臓器) count

このページでは, 経絡診断検査法に関してあまり馴染みの無いという方の為にそのイメージを伝えるための説明をしていきます。
磁石のN極とS極を使って, 決まった順に経穴を刺激した後に, 内関穴にN極を当てた時と, S極を当てた時の, 寸口の脈の大きさを比べます。このサイトのメインビジュアル画面に出ている肝陽虚の検査法を例に説明します。

肝陽虚の検査法

下の動画は,このサイトのメインビジュアル画面に出ているもので, 肝陽虚の検査をしています。
肝陽虚の検査法は、
二間S・復溜S・行間S count   N>S
と表記されます。
二間S・復溜Sが陽虚を意味する「負荷刺激」です。
陽虚に続いて, 肝経の陽性穴である行間に当てて, カウントすることで, 肝陽虚の定量をしています。N>Sやカウントに関しては, 少し下で説明します。

腎陽虚の検査法

肝経の行間の代わりに, 腎経の復溜に当てて
二間S・復溜S・復溜S count   N>S
として腎陽虚の定量をします。

count,  N>S,  N<S, の意味

内関穴にN極を当てた時より, S極を当てた時の方が, 寸口の脈が大きい状態が正常の場合 (つまりN<Sが正常の場合), 「N>Sで異常を判定する」という意味で検査法に「N>S」と書き添えます。
例えば,   「二間S・復溜S・行間S count   N>S」
では, 動画のように, 二間S・復溜Sに続いて, 行間にS極で持続刺激を与えた後,
N>Sの状態 (内関穴にS極を当てた時より, N極を当てた時の方が, 寸口の脈が大きい. ) であるため, まずは, 肝経に陽虚があると診断します。
  続いて, 行間にS極の断続刺激を与えて判定します。
 動画では,行間に断続刺激を8回で N<S (正常)、断続刺激9回でN>S (異常)となっているので, 肝陽虚9と判定します。この数字が小さいほど肝陽虚の程度は, 強くなります。
このように, 異常になり始めるとき(N<SからN>Sに変わるとき)の断続刺激の回数を調べて, 病態を定量化することをカウントと言い, 「count」とか「C」と表記します。
N>Sで判定, つまり, N<Sが正常で, N>Sとなった時の断続刺激の回数を調べるのが原則ですが, カウントをする経穴によっては, 例外があり, その一つが, 公孫にS極を当てる場合です。

脾陽虚 〜 公孫Sでの判定はN<Sで行う

二間S・復溜S (陽虚)に続いて, 脾経の公孫に当てて,
二間S・復溜S・公孫S count     N<S
と定量します。公孫にS極を当てる時は, 「N>S」が正常ですから, N>SからN<Sに変わる時の公孫への断続刺激の回数を調べます。つまり,
二間S・復溜S・公孫S (持続刺激) →N>S であれば正常で脾陽虚なし。
二間S・復溜S・公孫S (持続刺激) →N<S であれば脾陽虚ありとなり, 定量化する場合はカウントします。
例えば, 二間S・復溜S・公孫S (断続刺激7回) →N>S
二間S・復溜S・公孫S (断続刺激8回) →N>S
二間S・復溜S・公孫S (断続刺激9回) →N>S
二間S・復溜S・公孫S (断続刺激10回) →N>S
二間S・復溜S・公孫S (断続刺激11回) →N>S
二間S・復溜S・公孫S (断続刺激12回) →N<S
となって場合, 脾陽虚12となります。

負荷刺激・対象経絡 count

経絡診断検査で, 陽虚 (二間S・復溜S)のように, 病態を表現する部分を負荷刺激, 行間S, 復溜S, 公孫S のように負荷刺激で表された病態が, その経絡にあるかどうかを診るために当てる部分を対象経絡と呼びます。
負荷刺激には, 陽虚 (二間S・復溜S), 陰虚(魚際S・太谿S), 気虚(太渕S・復溜S), 気実(太渕N・復溜N) といった、気血陰陽の変動や, 風寒(太渕S・申脈N), 風熱 (魚際S・足三里N)といった外邪, 瘀血(公孫S・太衝N), 血瘀 (太衝N・公孫S),  痰 (足三里S・公孫S) といった病理産物などがあります。
経絡診断検査法では, 以上のような経絡の病態だけでなく, 現代医学的な臓器の病態も評価することが出来ます。

負荷刺激・対象臓器 count

経絡現象学では, 単独の経穴または複数の経穴の組み合わせで, 現代医学的な臓器・器官・組織を表現しています。これを経絡支配とか, 経絡解剖学と呼んでいます。
例えば,
太渕S・申脈N・行間S・太渕S・中渚S count
は, 風寒の外邪 (太渕S・申脈N)が肺門部気管支(行間S・太渕S・中渚S)に入っている状態を診ています。