寒熱検査
初めてテスターを手にされる方は, 寒熱検査から始めるのが良いと思います。
寒熱検査を勧める理由
寒熱検査は
負荷刺激に相当する部分が無い
内関穴にN極を当てた時とS極を当てた時で脈の大きさの判定をする場合に,
N<S
を異常とする部分がある
という意味で, やや特殊です。
しかし, 寸口の脈の大小を診る感覚は, 他のあらゆる経絡診断検査法に共通のものです。
寒熱検査は, 飲食物や衣類品の寒熱を調べる方法でもあるため, この方法で, ご自身で新しい知見を得ることも可能です。
寒熱検査に必要な経穴の位置
寒熱検査に必要な経穴は ,右足三里と内関だけです。
足三里
脛骨の陵線(出っ張ったところ)の約1横指外側に胃経が走行しています。その胃経上で, 脛骨頭より, 指4本分下がったところに, 押さえるとひびく場所があります。ここが足三里です。
内関
前腕の掌側の中央を心包経が走行しています。心包経上で, 手関節が屈曲伸展する高さより, 約2横指ほど体幹側に上った場所が内関です。
経絡診断検査では, テスターで一定の刺激を加えた後, 内関にテスターのN極を当てた時とS極を当てた時の寸口の脈の大きさを比較します。
原則として、N極を内関に当てて脈を診て, S極を内関に当てて脈を診る。という順で行います。
N極を内関に当てる
脈を診る
S極を内関に当てる。
脈を診る
という順で脈を診て, N極を当てた時と, S極を当てた時の脈の大きさを比較します。
寒熱検査の方法 (手順)
右足三里にS極で断続刺激を行った後に, 内関にN極を当てたときと, S極を当てたときの寸口の脈の大きさを比較します。
N極を当てたときの方が大きければ, N>S、S極を当てたときの方が大きければN<S、と表記します。
殆どの被験者(ご自身が被験者になることも出来ます)で次のようになると思います。
右足三里へのS極の断続刺激2回 → N>S
右足三里へのS極の断続刺激3回 → N>S
右足三里へのS極の断続刺激4回 → N<S ←ここで逆転
右足三里へのS極の断続刺激5回 → N<S
このように, 右足三里へのS極の断続刺激3回から4回の間で, 結果が入れ替わるのがほとんどで、この場合、「寒熱検査 +4」と表記します。
もし、以下のようになれば、「寒熱検査 +3」になります。かなりの陽虚体質と言えます。
右足三里へのS極の断続刺激2回 → N>S
右足三里へのS極の断続刺激3回 → N<S ←ここで逆転
右足三里へのS極の断続刺激4回 → N<S
右足三里へのS極の断続刺激5回 → N<S
もし、以下のようになれば、「寒熱検査 +5」になります。かなりの陰虚体質と言えます。
右足三里へのS極の断続刺激2回 → N>S
右足三里へのS極の断続刺激3回 → N>S
右足三里へのS極の断続刺激4回 → N>S
右足三里へのS極の断続刺激5回 → N<S ←ここで逆転
寒熱検査の応用~飲食物などの寒熱の判定法
次に、調べたいもの(飲食物, 薬, 衣類品など)を掌握(労宮穴に当たるように握る)して, 寒熱検査をします。
測定したいものを掌握して寒熱検査を行う
掌握する前の寒熱検査が+4の場合を想定して話を進めます。
掌握して寒熱検査が+4であれば、その掌握したものの寒熱は ±0 となります。
掌握して寒熱検査が+5であれば、その掌握したものの寒熱は +1 となります。
掌握して寒熱検査が+6であれば、その掌握したものの寒熱は +2 となります。
逆に,
掌握して寒熱検査が+3であれば、その掌握したものの寒熱は −1 となります。
掌握して寒熱検査が+2であれば、その掌握したものの寒熱は −2 となります。
その先は, 説明を追加する必要があります。
右足三里へのS極の断続刺激2回 → N<S
さらに,
右足三里へのS極の断続刺激1回で N<Sであった場合、
寒性が強いものを掌握した時の寒熱テスト
右足三里にN極の断続刺激を加えます。
右足三里へのS極の断続刺激1回でN<S、右足三里へのN極の断続刺激1回でN<S → 寒熱検査 ±0
右足三里へのS極の断続刺激1回でN<S、右足三里へのN極の断続刺激1回でN>S → 寒熱検査 −1
右足三里へのN極の断続刺激1回でN<S、右足三里へのN極の断続刺激2回でN>S → 寒熱検査 −2
右足三里へのN極の断続刺激1~2回でN<S、右足三里へのN極の断続刺激3回でN>S → 寒熱検査 −3
右足三里へのN極の断続刺激1~3回でN<S、右足三里へのN極の断続刺激4回でN>S → 寒熱検査 −4
右足三里へのN極の断続刺激1~4回でN<S、右足三里へのN極の断続刺激5回でN>S → 寒熱検査 −5
右足三里へのN極の断続刺激1~5回でN<S,、右足三里へのN極の断続刺激6回でN>S → 寒熱検査 −6
掌握して寒熱検査が+1であれば、その掌握したものの寒熱は −3 となります。
掌握して寒熱検査が ±0であれば、その掌握したものの寒熱は −4 となります。
掌握して寒熱検査が−1であれば、その掌握したものの寒熱は −5 となります。
掌握して寒熱検査が−2であれば、その掌握したものの寒熱は −6 となります。
掌握して寒熱検査が−3であれば、その掌握したものの寒熱は −7 となります。
掌握して寒熱検査が−4であれば、その掌握したものの寒熱は −8 となります。
掌握して寒熱検査が−5であれば、その掌握したものの寒熱は −9 となります。
掌握して寒熱検査が−6であれば、その掌握したものの寒熱は −10 となります。
飲食物の寒熱の表 (転載・スクショ・印刷禁止)
このような方法で出来上がったのが, 次の飲食物の寒熱の表です。
(クリックすると大きく表示されます。転載, スクショ, 印刷 を禁止します。)
飲食物以外でも, 薬, 衣類品など, 寒熱検査の対象は身の周りに沢山あります。
例えば, 一見, 暖かそうな靴下でも寒熱が −2という例もあります。
これから冬に向かいます (現在:令和元年11月28日, 午後5時20分)。もし寒熱が+1とか+2の靴下が見つかれば是非教えて下さい。
以上、寒熱検査の方法と, その応用について説明しました。